- ユッケとはそもそも何?何のお肉のどの部位を使うの?
- なぜユッケ(牛肉の生食)は禁止されているの?
- ユッケを食べたいけど、食中毒が心配…
- 安心して食べられる安全なユッケはないの?
と思っているあなたへ、この記事では、なぜユッケ(牛肉の生食)は禁止と思われているのか、安心して食べられるユッケは存在するのか?について解説しています。
なお、精肉店勤務20年以上のわたくしが、これまでに得た経験・知識を加えて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
安心・安全のユッケは家でいただけます!実際にお取り寄せしたユッケのおすすめは?
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ユッケとは?使用する肉の部位は?

最初にユッケについて簡単に解説しておきます。
- 韓国の生肉料理
- 赤身の多い部位
ユッケとは韓国の生肉料理
ユッケとは、韓国の生肉料理の肉の刺身を指します。
肉(ユック)と刺身(フェ)が合わさった「ユッフェ」が語源とされています。
細切りにした生の牛肉に、コチュジャン・ごま油などでユッケ専用に調合されたタレをかけ、よくかき混ぜて食べるお肉料理です。
ユッケのタレは、甘いものからピリッと辛みのあるものまで、お店によってさまざまです。
卵黄をからめれば、濃厚な味わいになりスタミナ満点の一品となります。
ユッケに使用される部位は赤身の多いモモ部位

ユッケに使用される牛肉の部位は、赤身のしっかりしているモモ部位がほとんどです。
牛のモモ部位は、外モモ、内モモ、マル、ランプの4つの部位から成り立っています。
その中でも、ユッケに使用されるのは、旨みが強く特に赤身がしっかりしている内モモが主流です。
内モモは、ローストビーフでもよく使われる部位です。
高級な牛肉のうちモモであれば、適度な脂肪(霜降り)が含まれており、旨みに加え甘味も味わえます。
ユッケについてさらに詳しく知りたい方はこちら👇をご覧ください。
なぜユッケ(牛肉の生食)=禁止?となったのか
「ユッケを提供している焼肉屋さんを知っている」
「SNSでユッケの画像を、見かけたことがある」
そんなあなたは「本当はユッケは禁止されているの?」と疑問を感じていませんか?
結論から言いますと、
厚生労働省の定めた「生食用食肉の提供条件」を満たしていれば、ユッケ(牛肉の生食)は認められています。生食が禁止されているのは、レバー(牛の内臓)です。
では、いつから「ユッケ=禁止」というイメージが強くなったのでしょう。
また、レバーの生食が禁止となった理由も解説します。
- 集団食中毒事件がきっかけ
- なぜレバーの生食は禁止になったのか?
集団食中毒事件がきっかけ
ひとむかし前なら、ほとんどの飲食店が提供していた人気商品のユッケ(生食肉)。
しかし、2011年(平成23年)に焼肉チェーン店での腸管出血性大腸菌による被害の大きな集団食中毒事件が起きました。
二度とこういった事件が起きないようにと、国は食品衛生法に基づいた規格基準を定めたのです。
これにより、焼き肉店を含む飲食店でのユッケや牛刺しなどの生食用食肉を提供するための法律が厳しくなりました。
その提供条件の厳しさから、ユッケ(生食用食肉)を提供する飲食店は激減したのです。
「ユッケ=禁止」のイメージが強くなったのは、この食中毒事件がきっかけで「生食用食肉の規格基準」が決められた平成24年7月以降からといえます。
なぜレバーの生食は禁止になったのか?
平成23年に発生した焼肉チェーン店での腸管出血性大 腸菌による食中毒事件を踏まえ、同年10月、生食用食肉(牛 肉)について、食品衛生法に基づく規格基準を策定しました。営業者が牛ユッケなどの生食用食肉(牛肉)を調理・販売する 場合は、規格基準に適合したものを販売する必要があり、地方自治体において監視・指導を行っています。牛レバーについては、牛レバー内部から腸管出血性大腸菌が検出されたとの報告を受け、平成24年7月に食品衛生法に基づく規格基準を策定し、生食用としての販売を禁止しました。
引用:厚生労働省「食中毒対策」
上記の資料から、牛レバーの生食(レバ刺し、生レバーなど)が禁止になった理由は、牛レバー内部から腸管出血性大腸菌が検出されたからとわかります。
主な食中毒菌には以下が挙げられます。
- 腸管出血性大腸菌(O157など)
- リステリア
- カンピロバクター
- サルモネラ
- 黄色ブドウ球菌
- 腸炎ビブリオ
- ビブリオ・バルニフィカス
- ウェルシュ菌
なかでも腸管出血性大腸菌は、病原性大腸菌のうちの一つです。少ない菌数で、重症化しやすいので特に問題視されています。
集団食中毒事件は、牛レバーを調理した器具(腸管出血性大腸菌に汚染された包丁など)を使用して、ユッケを調理しお客様に提供したことが原因でした。
一般的に病原性大腸菌は、十分に加熱すれば死滅するので感染のリスクはありませんが、生で食べるということは腸管出血性大腸菌をそのまま口にすることを意味します。
このように、牛レバーの内部から病原性大腸菌が検出されたとありますが、牛肉の内部には病原性大腸菌は存在しないのでしょうか。
なぜユッケは食べれるの?牛肉を生で食べても大丈夫な理由は?

牛肉には、食中毒菌が存在しないから
牛のステーキを思い出してみてください。中心部が、レア(なま)でも食中毒になりません。
牛肉は、肥育環境や牛の体質から牛肉の内部には寄生虫や菌が存在していないといわれています。
では、なぜユッケなどの生肉を食べて、食中毒が起きた事例があるのでしょう。
それは、牛肉の表面に菌が付着してしまったものをそのまま食べてしまったからなのです。
牛のステーキは、菌が付着している可能性のある表面をしっかり加熱することで殺菌しています。
なので、中心部が生でも大丈夫なのです。
しかし、牛レバーに関しては、新鮮であっても内部に食中毒菌が存在している可能性があるので、表面だけでなく中心部までしっかりと火を通すことが必要です。
ちなみに馬肉に関しては、体温が高く(40℃ほど)雑菌が増殖しにくいという点、他の動物と異なり元から雑菌を保有していないという点から、生レバーを含め馬刺しなどの生食が認められています。
豚肉や鶏肉の生食の危険性は?
豚肉・鶏肉(内臓を含む)ともに、生で食べるとE型肝炎ウイルスや食中毒菌の感染する危険性があります。
感染リスクを避けるためにも、中心部までしっかりと加熱調理してから食べましょう。
ユッケ(牛肉の生食)の提供は違法(禁止)?罰則は?

飲食店でのユッケ(牛肉の生食)提供は、提供条件を満たしていれば違法とはなりません。
しかし、提供条件を満たさずユッケの提供をした場合は、罰則として食品衛生法による行政処分(営業停止など)の対象になります。
店舗でのユッケの販売は、提供方法によって条件が異なります。
- 店舗内で調理・調味せずに提供する場合
- 店舗内で調理・調味して提供する場合
店舗内で調理・調味せずに提供する場合
「生食用食肉の規格基準」を満たしていない店舗であっても、ユッケを提供することができます。
生食用食肉加工の認定工場で加工・製造されたユッケの個食パックを仕入れ、パックに入ったまま提供し、お客自身が具材やタレを混ぜてたべるという方法であれば、提供することは可能です。
お客自身が混ぜるという点がポイントで、店側がたれを混ぜると調理したとみなされてしまいます。
お店側は、調理・調味にいっさい関わらないことが条件となります。
しかし、この方法は、厳しい「規格基準」を満たさなくてよいというメリットがある反面、仕入れ原価が高くなってしまうので、販売価格がどうしても高値になってしまうというデメリットがあります。
店舗内でユッケ(牛肉の生食)を調理・調味して提供する場合
店舗内でユッケを調理・調味して提供するには、平成23年10月1日から施行された「生食用牛肉の規格基準」を満たしている必要があります。
保険所に生食用食肉を販売する旨を通知し、基準を満たしているかチェックされます。
規格基準を満たしている店舗には「生食用食肉販売許可証」を与えられ、見やすいところに掲げることを義務付けられています。
この場合、厳しい「規格基準」を満たさなくてはならないというデメリットがありますが、店舗内で調理・調味(味付け)できるとなると、牛肉のカットの大きさやタレの味など、その店舗だけのオリジナルユッケを提供できるというメリットがあります。
生食用食肉の規格基準とは?
生食用食肉の規格基準の主な内容
- 腸内細菌科菌群が陰性である
- 加工及び調理は、専用の設備を備えた衛生的な場所で、専用の器具を用いて行っている
- 肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱、又はこれと同等以上の効果がある方法で加熱殺菌している
- 加工及び調理は、食用食肉(牛肉)の安全性確保に必要な知識を習得した者※が行っている
※「食品衛生管理者」「食品衛生責任者」「認定生食用食肉取扱い者」
「生食用食肉の規格基準」には以下の基準に分けられ、施設、業者ごとに守るべき基準が設けられます。
- 加工基準
- 調理基準
- 保存基準
- 表示基準
加工基準
加工基準は、適切な処理をした食肉の表面に存在している可能性のある食中毒菌を死滅させ、徹底的に検査をして安全な生食用食肉にするためのものです。
この際、専用の加工施設で決められた加熱方法で行う必要があります。
調理基準
調理基準は、加工基準を満たした生食用食肉を調理・調味(味付け)し、安全な商品を消費者へ提供するためのものです。
この基準は、生肉料理を提供する飲食店だけでなく、スーパーや精肉店、惣菜店などの施設にも適用されます。
保存基準
保存基準は、生食用食肉が消費者に届くまで、安全に保存することを目的としています。
安全に保存するためには、冷蔵で4℃以下、冷凍でマイナス15℃以下というように温度管理の徹底が必要です。また、保存する際の容器や包装にも注意を払わなければなりません。
表示基準
表示基準は、ユッケなどの食肉の生食の際に起こりうる食中毒を防止するために食品衛生法の基づき設定されたものです。
飲食店であれば、食肉の生食には食中毒の可能性があること、抵抗力の低い方(子ども・お年寄り・妊婦)は食べるのは控えることを店舗内の見やすい場所に表示し案内しなければなりません。
容器包装された生食用食肉を販売する場合は、原材料や成分、保存方法、加工施設などの情報を表示しなければなりません。
また、飲食店での提供同様に、食肉の生食には食中毒の可能性があること、抵抗力の低い方は食べるのは控えることを注意事項として、表示する必要があります。
参考資料:農林水産省(生食用食肉取り扱いマニュアル第2版)
このように、数多くの条件を満たした生食用食肉だからこそ、安全に、そして安心して口にすることができるのです。
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ユッケ風の料理

ユッケの規制が厳しくなってから、マグロのユッケ風やアボカドのユッケ風などのユッケ風のおつまみがたくさん考案されました。
そんなユッケ風のおつまみの中から、お肉が原材料のユッケ風おつまみを紹介します。
簡単に作れて、お酒がすすむ!お肉系ユッケ風おつまみ5品の作り方を以下に👇まとめましたので、ぜひご覧ください。
ユッケはお家でも食べられる

国の定めた生食用食肉の提供基準を満たしている飲食店なら、ユッケを食べられるということがわかりました。
しかし、まだまだユッケを提供している飲食店は少なく、探すのもひと苦労です。
仮に見つけたとしても、ユッケのみを注文するのは気が引けます。
ユッケが食べたかっただけなのに、余計な出費は避けられない状況になります。
「ユッケをすぐに食べたい」というユッケ好きのあなたに朗報です!
あの美味しいユッケをお家で食べる方法があります。
生食用食肉加工認定工場(生食用食肉の規格基準を全て満たしている施設)で、加工・製造されたユッケを取り寄せる方法です。
この方法なら、わざわざユッケを提供しているお店を探し、出向かわなくてもお家で絶品ユッケを楽しめます。しかも、ユッケのみの注文ができるので、余計な出費はありません。
お誕生日、父の日、母の日、などの特別な日のプレゼントにもよろこばれます。
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最後に

「生食用食肉の規格基準」を満たしたユッケ(生食用食肉)ならば、食べることができるということがわかりました。
しかし、牛肉の生食に限らず全ての食べ物において、食中毒の可能性はゼロではありません。
わたしたち消費者も、食器の洗浄・手洗い・うがいなどで衛生管理を行い、食中毒予防に努めることが大切で、子どもや高齢者は食中毒に対する抵抗が弱いことを認識しておく必要があります。
せっかくの美味しいユッケ、食中毒の心配をしながら食べていては美味しくないですよね。
「生食用食肉の規格基準」を満たしているかをしっかりと確認し、安心して食べられるユッケで、肉の旨みと幸せを噛みしめましょう。
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