A5の和牛とは
- 歩留(皮下脂肪に対しての肉の割合)が最高等級のAランク
- 肉質が最高等級の5ランク
の和牛のこと。すなわち肉の割合・肉質がともに最高等級の和牛のこと。
派手な霜降り、肉の色つや、しっとりとした肉質、見た目にインパクトがありグルメ番組などでも度々取り上げられるA5ランクの和牛。
A5ランクの和牛の相場は部位によって差はありますが、1㎏あたり約20,000円~30,000円以上、ブランド和牛になると1㎏あたり約20,000円~50,000円以上で、取引きされています。
A5の和牛は、なぜこんなにも高値で取引されるのでしょうか。
そもそもA5として扱われる和牛の基準とは何なのでしょう。
この記事を読んでいただくと、その疑問は解決します。
食肉に関わって20年以上になるわたくしが、
- 和牛と国産牛との違い
- A5ランクの和牛の判断基準
- A5ランクの和牛はどうしてこんなに高価なのか
などについて解説します。
お肉を囲んだ食事の際にA5ランクの和牛について鼻高々に語れるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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和牛と国産牛って同じ?

まず、ハッキリとさせておきたいのが和牛と国産牛の違いです。
「和牛も国産牛も、国産のお肉ってことじゃないの?」と思われるでしょうが、和牛と国産牛には、明確な違いがあるのです。
国産牛
国産牛として扱われる牛は、出生から出荷まで日本で飼育された期間が最も長い牛を指します。
実は、品種や出生地は関係ありません。
海外で生まれた牛であっても出荷までの間、日本で飼育された期間が最も長ければ、国産牛として扱われるということです。
和牛
和牛といえば、黒毛和牛と思われる方がほとんどではないでしょうか。
一口に和牛といっても、いろんな品種があります。
そして、和牛として扱われる牛は以下の条件を満たす必要があります。
- 日本国内で生まれ、日本国内で出荷まで飼養された牛であること。
- そのことを牛トレーサビリティ制度※で確認できること。
※牛トレーサビリティ制度:日本国内で生まれたすべての牛の出生から消費者に供給までの生産履歴情報が得られる制度。(引用:農林水産省)
以下の品種であること
- 黒毛和種(くろげわしゅ)
- 褐毛和種(あかげわしゅ)
- 日本短角種(にほんたんかくしゅ)
- 無角和種(むかくわしゅ)
- 上記4品種間の交配による交雑※種
- 5と1~5の品種間の交配による交雑種であり、そのことが家畜改良増殖法に基づく登録制度等により証明でき、かつ、牛トレーサビリティ制度により確認できること。
参考:農林水産省
※交雑 遺伝的に異なる系統・品種などの間で交配を行うこと。(大辞泉より)
そして、日本で出回っている和牛の品種の約90%以上が黒毛和種といわれています。
このことからも、和牛=黒毛和牛のイメージを持っている方が多いようです。
以下の有名ブランド牛も黒毛和種です。
- 但馬牛
- 神戸ビーフ
- 特選松阪牛
- 米沢牛
A5ランクは、どのように評価されるのか?
歩留等級皮
下脂肪に対する肉の割合の良さをA.B.Cの3段回から評価
肉質等級
4つの項目、それぞれを5段回で評価
▼規格の等級と表示
肉質等級→ ↓歩留等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
A | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 |
B | B5 | B4 | B3 | B2 | B1 |
C | C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
歩留等級
歩留等級とは、「商品化できるお肉が取れる割合」を評価したものです。商品化できるお肉が多いほど評価が高くなります。
肉の割合が多い→少ないをA>B>Cと評価され、Aが最高評価となります。
肉質等級
肉質等級は、「牛の肉質」を4つの項目をそれぞれ5段階で評価したものです。
4つの項目は以下です。
- 脂肪交雑
- 脂肪の色沢と質
- 牛肉の締まりときめ細かさ
- 牛肉の色沢
それぞれの項目の評価のうち、1番低い評価がその牛の肉質等級となります。
例)3つの項目が最高評価5、1つの項目が3であれば、その牛の肉質等級は3となります。
なので、肉質等級5を得るためには、全ての項目が最高評価5でなければいけないということです。
では、4つの項目とは具体的に何を評価するのでしょう。
脂肪交雑
脂肪(サシ、霜降り)の入り加減を評価します。
脂肪の色沢と質
切開面を見て脂肪を評価します。脂肪の色が白いほうが高評価になります。
締まり・きめ細かさ
ロースの断面を見て評価します。締まりが良く、きめが細かい肉質なら高評価です。
牛肉の色沢
肉の色艶を評価します。淡すぎず・濃すぎない色中間であるほど高評価になります。
みなさん、お気づきでしょうか。
和牛の評価は、見た目のみで判断されています。
味に関しての評価はありません。
なので例えA5の和牛であっても、味は食べてみないとわからないということになります。
A5の和牛が高いのはなぜ?
A5とは、味ではなく見た目の評価であることがわかりました。
ではなぜ、A5の和牛は美味しいと評価され高値で取引されるのでしょう。
そこには、消費者のニーズも関係しているようです。
等級は味と全く無関係とはいえない
A5の和牛の評価は、見た目のみの判断なので味は食べてみないとわからないといいました。
しかし、味と全く無関係とは言い切れません。
なぜなら、牛肉の美味しさに大きく関わってくるのは脂肪の質です。
その脂肪の質が高評価であればあるほど、美味しい牛肉と判断できます。
なので、高評価の牛=脂肪の質が良い=美味しいとなるのです。
もちろん、人それぞれ好みがあるので、全ての消費者が美味しいと感じるわけではありません。
しかし、美味しさに関係する脂肪を評価しているという点からも、一定の味は保証できるといえます。
消費者が求めている
きれいな霜降りの入ったお肉は、見るだけで柔らかそうに思え、たいていの方が美味しそうと感じるでしょう。
和牛を提供しているお店なども、見た目にインパクトが欲しいがため、霜降りがきれいなA5の和牛を求めます。
このように我々消費者が、きれいな脂肪を含んだ和牛を求めていることもA5の和牛が高値で取引されている理由に挙げられます。
ですが、やはり等級だけでは美味しさがわからないのも事実です。
美味しい和牛を見極めるには、熟練した目利きが必要といえるでしょう。。
まとめ
- A5とは、商品化できるお肉が多く、肉質が全てにおいて優れたお肉のこと
- 等級の評価は、見た目での評価であって味に関する評価ではない
- A5の和牛が高価なのは、消費者のニーズが高いため
- 味を見た目だけで判断するには、熟練の目利きが必要
美しい霜降りの和牛は、本当においしく至福のひと時をあたえてくれます。
しかし、昨今では健康志向の方が増えたということもあり、赤身のお肉が注目を集めています。
このまま消費者のニーズが霜降りではなく、赤身に移行すれば、A5の和牛の価格も落ち着くのではないでしょうか。
最後まで、お付き合いくださりありがとうございました。
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